◇2008東レPPO見所
今年から開催時期が9月になり、会場も東京体育館から有明コロシアムへと移り、まさに大会そのものが生まれ変わったといえる、今年の東レ・パン・パシフィック・テニスは、トップ10のうち6選手がエントリー、また本選のカットオフの順位が37位と、トップ50の選手すら予選からという、大会史上まれに見るハイレベルな大会となった。
その今大会の見所を『セルビア』『ロシア』『若手』の3つのキーワードで紹介する。
昨今の女子テニス界を語る上で欠かせない2人、イェレナ・ヤンコビッチとアナ・イバノビッチが、今年も東京に戻ってきた。今年の全仏オープンで優勝を果たし、初のグランドスラムタイトルと共に世界ランキング1位の座を手に入れたイバノビッチと、全米オープンで決勝に進出したヤンコビッチというセルビア勢を中心に今の女子テニス界が動いているといっても過言ではない。
現在の女子テニスツアーにおいて、最大・最強の勢力と言えるのがこのロシア勢だ。その証拠に、トップ10に5人もの選手が送り込んでいるほか、北京オリンピックのメダルを独占したことも記憶に新しい。そのテニス大国ロシアから、今年は世界ランク4位のエレーナ・デメンティエワ、同5位のディナーラ・サフィーナ、同7位のスヴェトラナ・クズネツォワが出場するほか、ナディア・ペトロワやマリア・キリレンコら中堅選手も出場している。
男子に比べ、10代からトップで活躍する選手が多い女子テニスツアーにおいて、今年は若手が豊作の年といえる。今大会には、アグニエシュカ・ラドワンスカ、キャロリーン・ウォズニアキ、アリス・コルネ、アグネス・サバイらが出場する。次代の女子テニス界を占う上でも、今大会は重要となるだろう。
最後に日本勢からは、16年連続出場の杉山愛をはじめ、中村藍子と森田あゆみも本選からの出場となった。グランドスラム連続出場の世界記録を樹立した杉山は、今年こそベスト8の壁を打ち破りたい。また、中村と森田というこれからの日本女子テニス界を担う2人の力は、世界の強豪相手にどこまで通用するのだろうか。また、今大会の予選に、4月の現役復帰以来、注目を集めているクルム伊達公子がエントリーしており、こちらにも注目したい。
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