◇2009東レPPO見所
賞金総額が200万ドルに増額され、世界でも5大会しかないという「プレミア5」の大会として生まれ変わった東レ・パン・パシフィック・オープン。グランドスラムに匹敵する大会となった今大会は、世界トップ30のほとんどがエントリーするという、まさに現在の世界トップの女子テニスの全てを目撃できるまたとないチャンスとなった。
また本戦ドローも従来の「28」から「56」に倍増され、大会が開幕する日曜日から、決勝が行なわれる土曜日までたっぷりと最高峰のテニスを堪能できるだろう。
今年の出場選手リストを見ると、世界ランク1位で昨年のチャンピオンであるディナーラ・サフィーナをはじめ、グランドスラム7勝のヴィーナス・ウィリアムズ、世界ランク4位のエレーナ・デメンティエワ、さらには今年のUSオープンで決勝に進出したキャロリーン・ウォズニアキなどがおり、史上最高に豪華なメンバーが東京にやってくる。残念ながら今年の全豪オープンとウィンブルドンのチャンピオンであるセリーナ・ウィリアムズは怪我のために欠場となったが、トップ10のうち9人が出場するという、大会史上最高にハイレベルな戦いが予想される。
肩の怪我から復活した「ロシアの妖精」マリア・シャラポワにも注目が集まる。昨年に受けた手術のため、今年5月までの休養を余儀なくされていたシャラポワだが、復帰後は全仏オープンでベスト8に進出するなど、その実力の高さはまぎれもない本物。15歳のときに、下部大会ながらもプロとして初タイトルを日本で手に入れ、さらに初のツアータイトルも有明で手にし「日本がプロとしての原点」と語っているシャラポワが、怪我からの復帰後、初のタイトルにむけて東京に帰ってくる!
そして見逃せないのが、今大会を最後に現役生活に別れを告げる杉山愛だろう。1992年の10月にプロ選手との生活をスタートしてから19年、日本の、いや世界のテニスファンに愛されてきた杉山が最後の雄姿を有明で披露する。グランドスラム女子ダブルス3勝、グランドスラム・シングルス連続62大会出場と10年以上に渡り世界のトップとして日本女子テニス界を牽引してきた杉山、最後となる今大会での完全燃焼を期待したい。
さらに日本勢からは、クルム伊達公子と森田あゆみの本戦からの出場が決まっている。昨年の今大会予選でWTAツアー再挑戦を始めたクルム伊達は、今年の全豪オープンとウィンブルドンで本戦に出場し日本のみならず世界からも注目を集める存在に再びなりつつある。また森田は、グランドスラムでの初勝利こそならなかったが、世界ツアーでも2度のベスト4進出などコンスタントな成績を残しており、世界のトッププレイヤーとして定着しつつある。世界の強豪に挑む日本勢にも注目したい。
画像提供:GETTY