◇王者フェデラー連覇、準優勝は伏兵ゴンサレス。
左:F・ゴンサレス/右:R・フェデラー
男子シングルスは、前評判通りの強さを発揮したロジャー・フェデラーが、全試合ストレート勝ちという、全豪オープンでは1972年のケン・ローズウォール以来の記録を達成して、2年連続3度目の優勝を成し遂げた。準決勝ではアンディ・ロディックを6-4, 6-0, 6-2で完封し、決勝ではジュニア時代から同世代のライバルとして戦ってきたフェルナンド・ゴンサレスを7-6(7-2), 6-4, 6-4で退けた。昨年は表彰式で感動の涙を見せた王者だったが、今年は満面の笑みで会場に訪れたファンに感謝の言葉を述べていた。
惜しくも準優勝に終わったゴンサレスは、4回戦でジェームス・ブレーク、準々決勝でラファエル・ナダル、準決勝でトミー・ハースと、次々と強敵を撃破しての決勝進出だった。初めて経験する四大大会決勝という大舞台では、王者の前に善戦するも勝利には至らなかったが、今回の快進撃でランキングを自己最高の5位まで上昇させ、またそのフォアハンドの爆発力を世界中のテニスファンに知らしめた。
昨年、ジミー・コナーズの力を得て復活したロディックは、3回戦でマラット・サフィン、4回戦でマリオ・アンチッチ、準々決勝で同胞のマーディ・フィッシュを倒しての4強入りだったが、フェデラーの前には全くなす術なく敗れた。昨年USオープンで見せたフェデラーとのがっぷり四つの接戦が再現されるかに思われたが、進化する王者との実力差が開いたことの印象が残った。
世界2位のナダルは2年ぶりの参戦だったが、これまでの4回戦進出という記録を塗り替えはしたものの、ベスト8で敗れた。ハードコートでも成績を残し始めているナダルだが、クレーに比べてまだまだ課題が残っていることが露呈された大会となった。
昨年大会のシンデレラ・ボーイ、マルコス・バグダティスは2回戦でガエル・モンフィスに敗れた。その他、印象に残った選手は19歳のノヴァーク・ジョコビッチで、4回戦まで進みフェデラーに敗れた。また、昨年フェデラーを破った2人の選手のうちの1人、アンディ・マレーは4回戦でナダルに屈している。
◇セリーナがノーシードから優勝、シャラポワは準優勝。
左:M・シャラポワ/右:S・ウィリアムズ
女子シングルスでは、大会前には「まったくシェイプされていない」などと酷評されていたセリーナ・ウィリアムズがノーシードから決勝に進み、マリア・シャラポワを6-1, 6-2のストレートで圧倒して2年ぶり3度目の全豪オープン制覇を決めた。ノーシードの選手が優勝したのは1978年のクリス・オニール以来の快挙。優勝までの道のりでは、1回戦で第27シードのマーラ・サンタンジェロ、3回戦で第5シードのナディア・ペトロワ、4回戦で第11シードのイェレーナ・ヤンコビッチ、準々決勝で第16シードのシャハール・ペア、準決勝で第10シードのニコレ・バイディソバ、決勝で第1シードのシャラポワと、実に6人のシード選手を破って栄冠を手にした。
昨年USオープンに続く自信3度目のグランドスラムタイトルを狙っていたシャラポワだが、決勝では全く良いところ無く、セリーナの圧倒的な攻撃力の前に敗れた。しかし、ベラ・ズヴォナレーワ、アナ・チャクエタゼらのロシア勢や、今大会が最後の全豪オープンだったキム・クレイステルスなどを破っての決勝進出だった。それでも、ヒート・ポリシーが発動された1回戦でカミーユ・パンにフルセットの苦戦を強いられた不調の方が記憶に残っているかもしれない。
全豪オープンでは6年連続で決勝進出し、3度の優勝と3度の準優勝をおさめているマルチナ・ヒンギスは、昨年と同じく準々決勝でクレイステルスに敗れた。
また、今大会では若手の台頭が目立ち、ベスト4に進出したバイディソバをはじめ、ベスト8のチャクエタゼ、ペア、ルーシー・サファロバなどが格上選手を倒し、下克上を起こしはじめた。特に、サファロバは昨年覇者のアメリ・モレスモを下す殊勲を上げている。
◇ダブルスはブライアン兄弟が連覇
左:B・ブライアン/右:M・ブライアン
左:L・フーバー/右:C・ブラック
左:E・リホフツェーワ/右:D・ネスター
男子ダブルスは、4年連続の全豪決勝進出となっていたボブ&マイクのブライアン兄弟が、第2シードのヨナス・ビョークマン/マックス・ミルニ組を7-5, 7-5で下して、見事連覇を達成した。
女子ダブルスでは、カーラ・ブラック/リーゼル・フーバー組が、チャン・ユンジャン/チャン・シンウェイ組を6-4, 6-7(1-7), 6-1で退けて2005年ウィンブルドン以来となる四大大会優勝を決めた。日本勢では、杉山愛/ダニエラ・ハンチュコバ組がベスト8まで進んだが、優勝したブラック/フーバー組に準々決勝で敗れた。中村藍子/森上亜希子組は、1回戦でフラビア・ペネッタ/エレーナ・デメンティエワ組に逆転負けした。
ミックスダルブス決勝は、ノーシードのペア同士の対決となり、エレーナ・リホフツェーワ/D・ネスター組が、ヴィクトリア・アザレンカ/マックス・ミルニ組に6-4, 6-4で快勝し、準優勝に終わっていた昨年の雪辱を晴らした。
◇中村藍子が3回戦進出。国枝が車いす優勝。
国枝慎吾
日本勢では、四大大会51大会連続出場となった杉山愛が、第23シードで登場したが、2回戦敗退に終わった。中村藍子は2年連続の3回戦に進出し、センターコートでマルチナ・ヒンギスと対戦。惜しくも敗れたが、豪快な攻めが世界トップにも通用することを証明した。また、その他の女子では森上亜希子が本選に出場したが、2回戦でキム・クレイステルスに敗れた。
男子では、添田豪が2005年の鈴木貴男以来となる本選入りし、1回戦でマリオ・アンチッチと対戦したが、善戦実らず初戦敗退に終わった。
また、今回から四大大会の正式競技に加えられた車いすテニスでは、国枝慎吾が単複で優勝する快挙を成し遂げた。男子では斎田悟司が単複でベスト4、女子では八筬美恵がシングルスでベスト4に進んだ。
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