◇楽天ジャパンオープン2011総括
3月に東北地方を襲った東日本大震災。その影響もあり今年の楽天ジャパンオープンには多くのトップ選手が惜しみない協力を表明、トップ10から4人の選手がエントリーするなど、これまでにない豪華な顔ぶれが有明コロシアムに集結。昨年に続き好天が続いた今大会、多くのテニスファンが世界最高レベルのテニスを現地で堪能した。
ベスト4に勝ち残った4人がすべてトップ10という、近年まれにみるハイレベルな戦いとなったシングルスでは、ディフェンディング・チャンピオンであり第1シードのラファエル・ナダルと第2シードのアンディ・マレーが決勝に進出。自身初となるハードコート大会連覇を目指したナダルに対し、第2セット後半から完璧ともいえるパフォーマンスを披露したマレーが逆転で勝利。今季4個目のタイトルを獲得するとともに、キャリア通算20勝目を達成した。
ダブルスでは、アンディ・マレーとジェイミー・マレーの兄弟ペアがフランティシェク・チェルマク/フリップ・ポラセック組との接戦を制しタイトルを獲得。マレー兄弟の弟であるアンディは、1991年のステファン・エドバーグ以来、20年ぶりとなる今大会2冠達成という快挙を成し遂げた。
直前に行われていたデビスカップ入替え戦でインドに勝利、ワールドグループ復帰を決めていた日本男子勢にも注目が集まった。エース錦織圭は1回戦で世界ランク5位のダビッド・フェレールと2008年のUSオープン以来の再戦ということで注目を集めたが、2年連続で初戦敗退となった。
世界ランキングによる本戦出場は錦織のみとなった今年、主催者推薦で3人の選手が世界への挑戦権を獲得していた。日本のトップとして活躍を続けている添田豪は、1回戦でナダルと対戦。正真正銘、世界のトップを相手にその差を痛感させられたが、手応えもある敗戦だった。伊藤竜馬は日本勢で唯一の初戦突破、ベスト8進出に手が届くところまで来ていたが、あと一歩のところでチャンスを逃した。デビスカップでも大活躍だった杉田祐一は、今年の成長株であるラオニチからセットを奪う健闘を見せてくれた。
震災の影響で今年は女子の部が開催されなかったものの、例年以上の盛り上がりを見せた楽天ジャパンオープン。日本で唯一行われている男子世界ツアー大会として、今年で40周年を迎えた。今後も日本のテニスファンの期待に応え続ける大会として、開催され続けることだろう。
画像:tennis365.net