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全仏オープンは2日目にして歴史的な瞬間にめぐり合わせた。
ディフェンディング・チャンピオンのR・ナダル(スペイン)は、クレーでの歴代連勝記録をついに更新するかと世界中が期待する中、シングルス1回戦に登場した。そして、その重圧を振り払い見事に勝利を収め、クレーで54連勝を記録、1977年にG・ビラス(アルゼンチン)が打ち立てたクレー53連勝を超えた。その勝利後、センターコートでは当のビラスからナダルに記念のトロフィーが渡された。
1977年、クレーで連勝を続けていたビラスを阻止したのは、I・ナスターゼ(ルーマニア)、フランス、エクサンプロバンスでの大会だった。ビラスはその後もクレー大会4連覇を果たしており、その一敗さえなければ、連勝記録はさらに伸びていたはずだ。ナダルの試合前に、自らの記録が破られるかもしれないことについて聞かれたビラスは、「ナダルの記録達成は2年に渡ってのことで、私が1年でやったのとは違う。それに、記録達成のために彼はイージーな大会に出場したりしてるからね。」と、皮肉まじりの複雑なコメントを発していた。
しかし、センターコートで彼の記録達成の瞬間を目の当たりにした後は、がらりとその口調も変わり、ナダルの業績を讃えていた。「私の記録が破られるのなら、破ったのが彼のような人物であったのが何より嬉しい。彼のプレーを見るのはとても楽しい。新世代のテニス選手が生まれてくる、そんな感じがするよ。」
この日は第8シードで出場のJ・ブレーク(アメリカ)もP・スリチャパン(タイ)を倒し初戦突破を果たしたが、このところナダルに2連勝(昨年USオープン、今年のインディアン・ウェルズ)という、数少ない戦績を誇る。しかし、そのブレークもナダルの偉業には、賞賛を惜しまない。「凄いとしか言えないね。テニス史上でアンタッチャブルな領域に入る連勝記録ってのはそうたくさんないけど、R・フェデラー(スイス)のハードコートでの連勝やナダルのクレーでの連勝はまさにそれにあたるね。しかも僕がその同時代にプレーできるってことが嬉しい。」と、テニスは観戦するのも大好きと言う彼らしいコメントを発していた。「53連勝というのは、ちょっとやそっと上手いと言うだけでは絶対無理な記録だ。もうぶっちぎりでないとね。そりゃ100%な状態じゃない日もいっぱいあるだろうけど、それも克服して勝たないといけないしね。フェデラーにだってリードされていても逆転優勝するくらいだ。全仏オープンにもクレー巧者がずらりといるけど、みんなナダルには負けているんだものね。」
ブレークとナダルは、順当に行くと準々決勝で顔を合わせる。ナダルは得意のサーフェスで、雪辱を果たせるだろうか。
もう一方のドローの山で、ナダルの戦いぶりを見守るフェデラーは、パリ入りの際、「今年は僕とナダル二人の戦いという感じだね。」とライバル意識を隠さない。二人の今大会での決勝対決が実現すれば、すでに今年4度目の頂上対戦となる。これまでの3回は全てナダルが優勝〜ドバイ(ハード)、モンテカルロ(クレー)、ローマ(クレー)〜している。「全仏制覇はこの夏の大きなゴールさ。それ次第で今年がいい年になるか悪い年になるかを分けると言ってもいい。それにナダルとは、試合するごとにだんだん近づいてきている。ローマは惜しかった。勝てる試合だった。だから今回も同じ戦略でいくつもりだ。」と、フェデラーは意気込みの強さを語る。
「記録を破る」というプレッシャーから解放され、後は2連覇だけに集中すればいい19歳ナダルを、一体誰が止めるのだろうか?
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