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アガシ、初戦突破に感極まる

(アメリカ、ニューヨーク州フラッシング)

今回が21年連続の、そして最後のUSオープン出場となるA・アガシ(アメリカ)は、初日の月曜日A・パベル(ルーマニア)と対戦し、大接戦を制して2回戦進出を決めたが、その日は一日中、そして試合の間もずっと込みあがる感情を抑えるのが精いっぱいだったと話した。
第1セットのタイブレークを落としたとき、会場があまりの落胆で静まり返ったが、「あの静けさは、どんな声援よりも大きく聞こえた。」と、ファンの鼓動を感ぜずにはいられなかったようだ。

アガシ戦の直前には、同会場をB・J・キング・ナショナル・テニス・センターと命名するセレモニーが行われ、J・マッケンロー(アメリカ)V・ウィリアムズ(アメリカ)J・コナーズ(アメリカ)C・エバート(アメリカ)らとともに超満員のファンからキング夫人は祝福を受けた。
そのようなお祭りムードが極まる中でセンターコートに現れたアガシだが、この二人にはいくつかの共通点がある。その最たるものは、なんといってもファンとの交流を大切にするエンターテイナー精神と、それを通じてテニスをここまで普及する原動力となったことである。

パベルとの試合は6-7 (4), 7-6(8), 7-6 (6), 6-2の3時間半に及ぶ大接戦となったが、マッチポイントを迎えサーブの体制に入ったとき、アガシはこみ上げる涙を抑え切れなかった。
「2万人強のファンが総立ちになっているなかでマッチポイントを取りに行ったなんて、長いテニス人生でも初めてだ。あんなに皆が僕を応援してくれるなんて。」と、感無量でアガシは語った。
「USオープン初日のナイトセッションを飾るのでさえとても名誉のあることなのに、しかも今日はビリー・ジーンの命名式もあって、とにかく特別な一日だった。世の中には幅広い活動をする人もいれば、幅広く指導的立場に立つ人もいる。彼女の場合はその両方で、その彼女の祝福に自分も参加できたことがとても嬉しい。」と、キング夫人への敬意も払った。

さて、次の2回戦はタフな試合になりそうである。対戦相手は全豪オープン準優勝以来大活躍の第8シードM・バグダティス(キプロス)である。勝てばキャリア通算870勝目となる。

(2006年8月30日10時28分)
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