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女王セリーナ 14年ぶりに出場

今季最初のグランドスラムである全豪オープンで、自身19度目のグランドスラム優勝を飾った女子世界ランク1位のS・ウィリアムズ(アメリカ)が来月アメリカはカリフォルニア州インディアンウェルズで行われるBNPパリバ・オープンに14年ぶりに出場する意思がある事を明らかにした。

Time.comのコラムで水曜日に「テニスと言うスポーツへの愛情から出場します。心の中のその思いと容赦への本当の意味を新たに理解した結果、2015年のインディアンウェルズには誇りを持って出場する事にしました。」とセリーナは綴っていた。

最後に出場した2001年大会での出来事から、セリーナは個人的に出場をボイコットして来た。しかし彼女の心にはそれに終止符を打とうとする心境の変化が訪れたと言う。

当時、実の姉であるV・ウィリアムズ(アメリカ)と共に出場していたセリーナは、順調な勝ち上がりで準決勝を迎えた。その準決勝は姉のヴィーナスとの対戦となり注目を集めた。しかしまさに試合開始直前と言える20分前にヴィーナスが怪我を理由に試合を棄権したのである。

それが伝えられると会場からは、当時のコーチで実の父親であるリチャード氏によってわざと姉妹の対戦を避けたのではとの憶測が飛び、大きなブーイングが起きていた。更にK・クレイステルス(ベルギー)との決勝戦ではより大きなブーイングを受けると同時に人種差別的な暴言を浴びせられ、19歳のセリーナは試合後ロッカーへ引き上げるとショックから泣き崩れていた。

「心の底から愛しているテニスのとても大切にしていた大会の1つで、突然自分が全く歓迎されていないと感じてしまいました。孤独と恐れを感じながら。」とセリーナは綴り、その後長い間その思いにとりつかれていたと締めくくっていた。

そして決勝戦での暴言は、リチャード氏が幼少期を過ごした南部で受けたつめたい思い出を甦らせるものだと表現していた。

セリーナは「2001年大会で優勝しながらも、その後ロッカールームで何時間も泣いていた事を忘れるのは難しい事でした。ロサンゼルスまで車で戻る時も大きな戦いに負けたかのようでした。それは単なるテニスの試合ではなく、平等を求めるための大きな戦いに。心情的にはその土地から離れている事がより簡単な事だったのです。」とも綴っていた。

BNPパリバ・オープン大会主催者であるレイモンド・ムーア氏はセリーナが大会への主催者推薦を受け入れてくれた事には大変興奮しているとし、「ここインディアンウェルズのファンは、彼女を偉大なチャンピオンであるとして歓迎するでしょう。彼女のプレーをまた見られる事をとても楽しみにしています。」とセリーナへの思いを語っていた。

グランドスラムの次に位置する大会として、2週間に渡って行われる男女共同開催のBNPパリバ・オープンは、通常は男女ともトップ選手は出場が義務付けられている大会で、昨年は女子のトップ20の選手で出場していなかったのはセリーナだけだった。

女子プロテニス協会会長であるステイシー・アラスターさんも大会主催者の思いに共感していた。

「ファンにとって素晴らしいニュースです。多くの人々の生活にも前向きな影響を与えるような平等を訴える第一人者として、ファンとも交流を持ちながら彼女はまたその大会へ戻って来るのです。セリーナはずっと大会から離れていました。でも彼女が暖かくインディアンウェルズのファンに歓迎されるのは確かでしょう。」

セリーナの出場は、里帰りとも言える。ウィリアムズ姉妹は子供の頃、一時期南カリフォルニアに住んでおり、両親の指導のもとコンプトンと言う街でテニスを始めたのだった。

セリーナが初めてWTA大会の公式戦で勝利を上げたのは1997年のインディアンウェルズで、ヴィーナスと組んだダブルスでだった。そして1999年の女子シングルス決勝戦でS・グラフ(ドイツ)を倒しての優勝は「私の初めての大きな大会での優勝だった」とセリーナは振り返っていた。

実はセリーナは、昨年もその大会へエントリーしていた。しかし大会開催の16日前に欠場を決めていた。それは1月に行われた全豪オープン期間中に腰を痛めた事が原因だった。

33歳のセリーナは、今年の全豪オープンでは大会6度目の優勝を飾りながらも、怪我などを負うことはなかった。

その優勝でグランドスラムでの優勝を19に延ばしたセリーナは、グラフの持つグランドスラム史上最多優勝である22回に次いで史上2位となり、その記録へも一歩近付いた。

《優勝のセリーナ「誇りに感じる」》

「インディアンウェルズは、人生の中でもとても貴重な経験をした場所で、また大会の歴史の一部にもなっているのです。そして大会と共に違うエンディングへと書き直すチャンスにも恵まれたのです。」とセリーナも自身の気持ちを表していた。

BNPパリバ・オープンは3月11日から22日まで行われ、今年の女子の賞金総額は510万ドル(約5億9700万円)を超える。


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