テニスのグランドスラムである全豪オープン(オーストラリア/ メルボルン、ハード)は25日、女子シングルス4回戦が行われ、予選を勝ち上がった
Z・シュアイ(中国)が
M・キーズ(アメリカ)を3-6, 6-3, 6-3の逆転で下し、準々決勝へ進出する快進撃を見せた。
>>全豪オープン対戦表<<世界ランク133位のシュアイは予選3回戦で、
V・ラッツァーノ(フランス)にサービング・フォー・マッチの崖っぷちから本戦入りを決めていた。あの試合で負けていたら、そのまま中国へ帰るつもりだった。
昨年は不振が続き、全米オープンの予選敗退を喫した時は引退も考えていた。そして、今回の全豪オープンを現役最後の大会になるかもしれないとの想いで臨んでいたシュアイは1回戦で第2シードの
S・ハレプ(ルーマニア)を下し、その勝利に涙していた。
昨シーズン、同大会で準決勝進出を果たしたキーズは、第1セットでシュアイを圧倒するパワーでそのセットを先取。
しかし、徐々にキーズは体に痛みを感じ始めた。第2セットの序盤ではトレーナーを要求してメディカル・タイムアウトをとり、左太ももにテーピングを施す処置をした。それでも試合が進むにつれて痛みは増すばかりだった。
キーズは後に試合を続けたことについて「1つ目は棄権するのは嫌いだった。2つ目は必死に準々決勝進出をしようとしている人に対して、そんなことはしたくなかった。」とその時の気持ちを明かしていた。
勝敗を決めるファイナルセットでは、キーズが第3ゲームでシュアイからブレークし、ゲームカウント2−1とリードしたが、その直後に再びトレーナーを呼び再度太ももの治療を受けた。その後は足に力が入らずボールも追えなくなり、シュアイに逆転を許し、勝利の女神は微笑んではくれなかった。そしてキーズは涙ながらにコートを去っていった。
シュアイは「彼女(キーズ)が痛みを感じながらプレーしている姿を見ていると、集中するのがとても難しかった。試合を続けるのは本当に大変だった。」と試合後のインタビューで答えていた。
そんなシュアイは、ここまでのテニス人生最大の舞台で勝利を掴むことにプレッシャーを感じていたのも事実だった。
「2ポイント続けて彼女がプレー出来ないだろうと感じても、次のポイントをサービスエースとウィナーであっという間に取られてしまった。とても厳しい試合だった。何が起こるか全く分からなかった。」と試合を振り返った。
27歳のシュアイが初めてグランドスラムの本戦に出場したのは2008年のこと。それからというもの、今大会まで14度の出場で一度も1回戦を突破したことがなかった。そして、昨年はランキングも落としてしまうような不振に悩まされていた。この全豪オープンが、もしかしたら最後の大会になるかもしれないという想いで臨んでいた。
準々決勝では、同じく快進撃を続けている
J・コンタ(英国)と顔を合わせる。シュアイは度々コンタと一緒に練習する間柄。
グランドスラムでの勝利を長年待ち望んでいたシュアイは「今回の勝利は神様からの贈り物だと感じている。いつか、たくさんの勝利をくれるのではと思っていた。」と夢のような現実を受け止めきれずにいた。
もちろん、引退はまだ先へと延びることになるだろうが、それでもテニス人生の次のことも頭にはある。「珈琲ショップを開きたい。引退したら、お店を開くのでみなさん来てくださいね。」とおどけて見せていた。
(STATS - AP)
>>WOWOWで全豪オープン実況中!吉崎仁康氏による現地レポート<<
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