男子テニスで世界ランク14位の
N・キリオス(オーストラリア)は、来年2月に行われるABNアムロ世界テニス・トーナメント(オランダ/ロッテルダム、ハード、ATP500)へ出場せず、その時に行われるNBAのスター選手とのバスケットボールイベントへ出席するために、欠場する意向を明らかにしたと、英国の「BBC news」が報じた。
ABNアムロ世界テニス・トーナメントの主催者であり元男子世界ランク4位の
R・クライチェック(オランダ)は、アメリカのニューオリンズで行われるそのバスケットボールイベントへ21歳のキリオスが出席出来るように、大会への出場契約を解約する形となった。
クライチェックは「キリオスは、プロとしての活動より、自身の趣味を優先としているようだ」とコメントを発表した。
キリオスは、先週行われた上海ロレックス・マスターズ(中国/上海、ハード、ATP1000)の試合中に、明らかにやる気のないプレーをしたことに対して、男子プロテニス協会のATPから大会への出場を8週間禁止する処分が下された。
上海マスターズの前週には、楽天ジャパン・オープン(日本/東京、ハード、ATP500)で優勝を飾る活躍をしていたキリオスだったが、上海マスターズ2回戦で予選を勝ち上がった
M・ズベレフ(ドイツ)との試合では、ズベレフが返球したボールが自身のコートに到達する前にベンチへ向かって歩き出したり、観客へ暴言を吐いたりと問題になる行動をし、その試合は3-6, 1-6で敗れた。
キリオスは後に「本当に申し訳なかった」と謝罪のコメントを出すと同時に、その処分期間を利用して「コート上だけではなく、コート外での行いを改善させるつもりだ」と自身の見解を述べていた。
出場停止処分に加え25,000ドル(約260万円)の罰金も科されたキリオスは、2017年1月15日まで公式戦には出場できない。しかし、ATPはキリオスへスポーツ心理学者から専門的な治療を受ければ、11月7日にはツアーへ戻れる特別処置を設けている。
1996年にウィンブルドンを制したクライチェックは、キリオスの欠場を受けて今年の全米オープンを制した
S・ワウリンカ(スイス)を大会のエントリーリストへ加えた。
「キリオスとの出場契約を続けたかった。彼が疲れていると、何を起こすか分からない。中国の時のようにね。そんなことはロッテルダムの大会で起きて欲しくはない。そのため、キリオスとの出場契約を止めることに至った。」とクライチェックはオランダのメディアへのインタビューで答えていた。
さらに「我々はトップ選手が大会へ集って欲しいと思っているし、キリオスはプロテニス選手としての活動より個人の趣味を優先させたいと思っているようだ。彼が毎週テニスに集中していたら、きっと半年もすると精神的に燃え尽きてしまうのかも知れない。彼には息抜きが必要なんだ。」と想いを語っていた。
キリオスはかつてバスケットボールをやっていて、オーストラリアのユースチームの代表でもあったと2015年6月に受けたインタビューで語っており、テニスよりバスケットボールの方が好きだとも語っていた。
もしバスケットボール選手としてのキャリアを持てたらと問われたキリオスは「そうしてたと思う」と答えていた。
「14歳の時はそうしようと思っていた。今でもたまにバスケットボールをすると、不思議な理由ではあるがまだ出来るのではと思ってしまう。もちろん実際は全く別のスポーツをしているけど。それが素直な気持ちだけど、残念ながらバスケットボール選手としてのキャリアは終わりを迎えてしまった。」とバスケットボールへの強い思いも語っていた。
ABNアムロ世界テニス・トーナメントは2017年2月13日から19日にかけて開催。バスケットボールのイベントであるNBAオールスター・ゲームは2月19日に行われる。
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